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監督は脚本を11稿書かれ、撮影に入るまで4年かかったとか。監督がこの映画で一番描きたかったのは、終戦直後の闇市のすさまじいエネルギーでした。終戦から3日後に闇市ができ、300万人でにぎわったといいます。その様子は、ジョン・ダワーの「敗北を抱きしめて」に改革への希望に満ちた民衆の姿として、戦争孤児として放浪生活を送った児童文学者の佐野美津男さんは、握り飯をかっぱらって生き延びていくたくましいガキを描いています。あの時代の闇市がそれからの日本人の生きる原動力となったはずだと。撮影は、群馬県にセットを組み、当時の場所、風俗、小道具、音など可能な限り忠実に再現、エキストラ300人ほどで、当時の闇市を再現しています。 戦争で一度は死のうとした安藤さんが特攻隊の生き残りとして、敗戦直後に東京に復員、戦後のどさくさの中、闇市からのし上がっていく。ストーリーは、安藤さんの話に絞り、中井秀麿襲撃事件や財界人、介在する政治家、東映のニューフェースなど全部モデルがいます。彼が生きながらえたエネルギーをどこへ持っていき、アンダーグラウンドの世界で自分の理念をどうまっとうするのか。なかでも、安藤さんが鼻から吸って口から出すという呼吸法や、福竜会で命びろいをしたという話がきちんと描かれ、ラストは本物の安藤さんが渋谷を歩いているシーンで終わります。 撮影の前に、安藤さんがご自身で出演していらっしゃる映画を見て資料を調べ、実際に安藤さんと話をしました。顔は男の履歴書といいますが、安藤さんにはすさまじいものがあり、戦争や修羅場をくぐり抜けてきた人たちはかないません。目つき、顔つきがほかの人と違い、き然とした雰囲気をかもし出しています。そして、あれだけのエネルギーを内に秘めながらシャイな部分も持ってみえる。男から見ても、“粋な男”なんです。彼に「常にねらわれ、殺されてもおかしくはない状況は、どういう心境だったのですか」という問いに、「一度は死んだのだから、死ぬのは怖くない。その気持ちは、特攻隊で今日死ぬか、明日死ぬかもしれない、という時に、非常にきれいな太陽が海に沈むのを見て、心の整理ができたんだ」と。そんな安藤さんの思いやあこがれの気持ちを思い出して自分のなかでそしゃくをし、カメラの中でいつ死んでもいいという心持で演じました。 ぜひ一度、ご覧になってください。
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