>>No.168

山田洋次監督の時代劇「隠し剣鬼の爪」が映画化
長瀬 正敏さん

 あの「たそがれ清兵衛」から2年、山田洋次監督の時代劇「隠し剣鬼の爪」が映画化、名古屋ピカデリーほかで好評上映中です。幕末の重苦しい動乱の時代、北国の小藩に生きる若者が未来の希望を探し、恋に悩み、時として命をかけて戦った感動作。その若者を演じるのは、永瀬正敏さん。永瀬さんに撮影の話を伺いました。

プロフィール
1966年宮崎県出身。83年「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)で映画デビュー。89年のカンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞したジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」では全3話中の1話に主演し、国際的にも注目される。また、91年には「息子」(山田洋次監督)に出演。日本の映画賞を総なめにした。山田洋次監督作品は、98年「虹をつかむ男」以来8年ぶり5回目の出演になる。最近では、渡辺謙作監督の「ラブドガン」が公開されている、エキセントリックな役柄から時代劇まで、全く違う顔で演じ分け、海外からも注目される個性派俳優である。


  「たそがれ清兵衛」は、お父さんの物語で、仕事が終わると一目散に帰って家事をし、家族を愛してやまない父親が主人公でした。今回は、藤沢周平さんの「隠し剣鬼の爪」と「雪明かり」の2つの短編をもとに大胆に脚本化。幕末の庄内“海坂藩”を舞台に“鬼の爪”という秘伝を伝授され、予期せぬ激烈な運命に巻き込まれていく下級武士・片桐宗蔵の武士としての生き様と奉公に来た娘きえ(松たか子)との身分を越えたせつなく優しい愛を描いています。

 撮影に入る前の準備に長い時間かかったんですよ。原作には出てこない庄内弁をしゃべる練習や薪を割るシーンは大変で、何度も練習しました。殺陣のけい古は一刀流の先生と殺陣の先生にタグを組んでもらい、吉岡秀隆さん、小澤征悦さんと3人が教えてもらったんです。まず当時の武士がどうだったか、という心の内側から勉強しました。剣豪でも2人以上は切れませんと言われ、今までの剣豪のイメージがガラガラと崩れました(笑い)。吉岡くんとお互いに湿布をはる役をしながら毎日殺陣の練習。家は狭くて、剣を振ろうとしても天井に当たってしまう。公園で振っていたら5人の警官に囲まれて職務質問されたんです。30過ぎた男が恥ずかしい(笑い)。

 とにかく侍役は初めてで無我夢中、宗蔵になりきるのにせいいっぱいでした。彼はひたすら強いのではなく、小澤さん演じる友人の狭間弥一郎のほうが強いと思っているので、戦うときはこれで終わるのかという恐怖感でいっぱい。でも、もしかしたら有利かもしれないという微妙な感じが難しかったですね。演じている方は、客観的には見られないので、山田監督やベテランのスタッフからいろいろアドバイスを受けました。

 師匠から伝えられた秘剣鬼の爪は、家老を倒すときに使い、小澤さんと戦うときにはどうするか、監督もずいぶん悩まれたそうです。一刀流の先生たちと相談され、戦うときにふっと目を離し、相手がぎょっとしてひるんだ一瞬に体を一回転させて切ってしまうという技を使うので、お楽しみに。共演の松たか子さんは花のように華やかですし、堀家老役の緒方拳さんは彼に替わる人がいないというくらいにぴったりですよ。
 山田監督はどこへ行かれるにも藤沢周平の文庫本を1、2冊は持っていかれるそうで、ページをめくれば同じ音楽が聞こえてくるとか。主人公は常に貧しい町人や武士で生きていくだけで一生懸命な人たち。権力があったり、野心満々な人たちではなく、市井で生きる人たちの側に立って世の中を見る。それは庄内の人たちの気風かもしれませんね。

 「たそがれ清兵衛」の撮影は松竹の旧大船撮影所から京都の撮影所へ移ったばかり。山田監督は時代劇を撮るのも初めてならほとんどのスタッフが監督と仕事をするのは初めて。現場は苦しんだり、悩んだりすることが多かったとか。「鬼の爪」のときは、現場のスタッフと気持ちも通い合い、みんなが苦労しながら作り上げただけあって、いい作品になっていると思います。
 ぜひ、ご覧になってください。



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